26年間、多くの学生に私の授業を楽しんでいただき、心から感謝しています。しかし、私は全能な先生ではなく、ただ単純に茶が好きな者だけです。
多くの人は茶の授業を「売り手」の立場や、茶器や芸術を売る立場から行います。私は百年老舗の家系に生まれ、茶を作り、茶山を訪れ、茶の優れた点を鑑賞し、皆さんとその美しさを共有することが好きなだけです。
授業や茶会では、どの茶が好きかは全て個人の好みで決まります。
茶を学ぶには、多くの先生と接触し、自分に合った先生を見つけることが大切です。茶文化史には多様性があり、正解や不正解はなく、茶道にも絶対的な正解はありません。これこそが正しい茶の学び方だと思います。
ただし、茶を学ぶ際には、良いお茶の淹れ方や茶葉の成分、泡茶温度、時間、茶葉の種類などの科学的知識には絶対的な正解があります。例えば、茶葉に存在しない成分は抽出できません。そのため、泡茶における科学的側面には正解と不正解があります。
美しい茶席には、うまく淹れた一杯のお茶が必要です。それにより、茶湯と芸術が完璧に融合します。茶席はただの場面設置ではありません。したがって、茶を学ぶ際には、茶文化の多様性を尊重し、茶の知識に関する科学的側面も深く理解する必要があります。
(五代目店主の茶学講義より)